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と思うんですが、そういったコスト計算をもし出して、ホールの料金、何年で償却するのかわかりませんが、何十年かで償却をするということを考えてホールの料金立てをしたら、これはもうべらぼうに高いお金になるに決まっている。それではとても使う人が使えないだろう。ですから、ホールの料金というのも、恐らく使用料の建て値に対する根拠というのは、どこにも何にもないのではないかと思います。やっぱり同じような考え方がそこに成立をしているわけです。
つまり、ここの文化運動ゾーンは、点線の右側のビジネスゾーンに対して、コストを割って提供する。コストを割って提供するために、ここの文化ゾーンの人たちはお金を集めることをしなければならない。例えばホールの場合なんかは、自治体が直接すべてのお金を賄ってくださるところもあるでしょうし、また別に第三セクターをつくってお金を集めているところもおありになると思いますけれども、そういうことをしているから、右側のビジネスゾーンが成立するのです。
点線から右側、これはもう完全にビジネスゾーンです。音楽の場合ですと、皆さんもよくご存じのように、マネージャー会社というのがありますね。アートマネージメントということとマネージャーというのは全然違うことでございまして、マネージャー会社というのはビジネスゾーンの方で活躍をしているわけです。そこの表をずっと見ていただけばわかりますように、まず音楽事務所というのが左の上の方に書いてあります。この音楽事務所は、文化ゾーンの方にあります芸術家の中で、商売になるというとおかしいですが、人気があって商売になり得るような音楽家を、この音楽事務所が契約をして、その音楽家の代行、つまりエージェントをするという形の契約を大抵結んでおります。
ですけれども、そういう音楽家、音楽事務所のおめがねにかなった演奏家というのは限られた数でございまして、大部分の音楽家たちというのは、芸術団体に直接所属しているわけです。芸術団体に直接所属をしている音楽家たちは、さっきも言ったように、芸術団体そのものが赤字を出してひいひい言ってやっているわけですから、非常に安い月給でやらざるを得ない生活をしている。ところが、限られた何人かの売れっ子の音楽家たちは、音楽事務所を通してかなりお金が稼げるという状況が生じてきているわけです。音楽事務所は、当然その音楽家から手数料をとります。
それから、海外からもアーチストが日本にたくさんやってきていますが、海外からアーチストを呼ぶのも、大体この音楽事務所がやります。この音楽事務所がやることは、海外からアーチストを招聘するという言い方をしておりますが、事実上は日本の音楽家の事務

 

 

 

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